「深化と発展」をテーマに、障がい者のニーズに応える福祉企業へ。

重度障がい者支援を中心に、障がいのある方のトータルケアを目指し、活躍している株式会社きらきら。会社設立から13年。創業以来、その成長は目覚ましく、福岡市内の訪問系サービス事業者としては最大規模の事業者となり、障がい者の地域生活支援事業者として大きな存在となった。その成長の理由と今後の目標について、溝口伸之社長に話を聞いた。
2017年12月 インタビュアー:野田 紗池子

現在、どの業界も人材不足と言われていますが、福祉業界の現状は?

福祉業界の人材不足は特に深刻です。福岡市近郊はじめ、全国的に専門学校などの福祉系の学校が激減し、介護業界へのイメージダウンも重なり、介護を志す人も減っているのが現状。一方で、福祉事業者数は増えているので人材確保がますます困難になっています。そういった中で、当社もかなり苦労はしていますが、それでも他社よりは人材の確保ができている方ではないでしょうか。当社を選んでいただいている決め手は、会社設立のきっかけや、当社の特徴や志、将来の展望ではないかと思っています。その内容はホームページのコラムで掲載していますが、面接にお見えになる方の大半が「コラムを読んで来た」と言ってくださるので、ありがたいなと思っています。

創業以来、本当に良い人材に恵まれたことが、会社の成長にもつながりました。やはり人材の確保は本当に大事だなと実感しているところです。利用者の方々はもちろんですが、社員の皆さんにも当社のファンになってもらえるように賃金や有給休暇の取得など処遇改善に努める経営姿勢が大切だと思います。そうしてファンを増やしていくことが人材の確保につながるのではないでしょうか。私は、企業というのは、地域社会のため、働く人のために存在しなければ意味がないと思っています。そのために創業理念を忘れることなく、しっかりと地面に沿って行動する会社でありたいです。

給与規定や社内制度の充実度についてはいかがでしょうか。

労働基準法に基づいた給与や休日、産休・育児休暇制度などについての規定はもちろん、「教育制度」「永年勤続表彰制度」、「資格取得支援制度」や「財形貯蓄制度」、「委員会制度」などがあります。

当社の有給の取得率は80%です。日本の有給取得率は平均で約47%、福祉業界では約40%とのことなので、当社はかなり高い方ではないでしょうか。産休、育休後に復帰する人も多く、今年は5名ほど復帰しています。結婚して子どもを持つスタッフの割合は全体のスタッフの38%。仕事もプライベートも充実した毎日を送ってもらうために、ワークライフバランスを重視した体制づくりに努めています。

給与についてですが、一般スタッフの平均年収は約320万円です。転職サイトによるデータによると、中小企業に勤める大卒・20代の平均年収が約270万円ということ。報酬が低いと言われる福祉業界の中では悪くないと思います。ケアリーダーは約370万、管理職であれば400万円以上になりますので、ぜひキャリアアップを目指してがんばってもらいたいと思います。

ここ数年、新規事業を次々に立ち上げておられますね

居宅介護や訪問介護などを行う「ライフサポートきらきら」に加え、2011年に、訪問看護を行う「ナースステーションきらきら」を開設しました。また、2016年には、福岡市南区高木に,障がい者多機能支援施設「きらきらWITH YOU」を開設しました。

国の障がい福祉制度が充実する中、病院や施設から、在宅で生活をする重度の心身障がい者、難病患者の方々が増えています。そうした方々は、日常的に医療が必要な場合が多いのですが、在宅での医療ケアを支える仕組みはまだまだ脆弱。ご家族の過度な負担によってなんとか成り立っているというのが現状で、ご家族の疲弊は社会問題にもなっています。

この地域課題に真摯に向き合おうと開設したのが「ナースステーションきらきら」と「きらきらWITH YOU」です。医療ニーズのある重度障がい者にしっかり対応できる施設として、現在約30名の利用者が通所されています。まだ限定的ではありますが、短期入所も受け入れています。短期入所のニーズは非常に高く、当施設の最優先課題です。現在、年中無休体制での短期入所ができるよう、支援体制を整えているところです。実は、医療ケアができる支援施設は運営がかなり難しく、民間の一企業がこうした取り組みを行うのはたいへん珍しいケースだと思います。

そうした中、成長したと思われるのはどういった部分ですか?

この5年間ほど、医療ニーズも含め、利用者の総合的な支援をしていこうと考え、訪問看護、生活介護、短期入所、相談支援など事業を増やしてきました。その結果、利用者を総合的に支援する体制ができたのではないかと思います。もともと当社はホームヘルプサービスを行っていたのですが、ホームヘルプは生活支援の中のほんの一部で、会社をどう導くべきか、壁にぶち当たりました。そのときに考えたのが、「当社の強みとは何か」でした。

例えば、知的障がい者の支援であれば、そこに強い事業所や会社があります。では、当社は何が強いかと考えたとき、「重度心身障がい者や難病患者の支援ではないか」と改めて気づいたわけです。その強みに従って新体制を構築したことで、当社の色を出すことができました。おかげで、「医療ケアの必要な重度障がい者の支援がしっかりできる会社だ」という誇りを、会社も、そしてスタッフも持てるようになったのではないでしょうか。それが、ここ数年間の当社の成長ではないかと考えています。

このほど5か年計画を立てられたとか。主な目標を教えてください。

新たな5か年計画のテーマは「深化と発展」です。障がいのある人のあらゆるニーズに対応できる福祉企業を目指すという前の長期計画により推し進めてきた事業群の強化と連携を図り、重度障がいのある方が生き甲斐のある生活を送れるように取り組んでいきます。

各部門の強化をはじめ、関係機関との連携、人事・賃金制度の見直し、社会環境の改善、福祉業界の課題解決に向けた働きかけなどを具体的に行っていく予定です。

現在、会社設立14年目。6年後には設立20年を迎えます。そのときに今よりもさらに成長し、30年、40年と存続できる会社になっていたいと思っています。

このほど、福岡市の「地域生活拠点施設」の受託施設に選定されたそうですね。

現在、各地域に「地域生活拠点施設」をつくろうという厚労省の政策が進んでいて、福岡市では地域生活支援拠点等整備事業の緊急時の受け入れ・対応業務の受託事業者を募集しました。これは、家族の急病など緊急時に、行動障がいや医療的ケアなど専門的な支援を必要とする重度障がい者の受け入れする施設を整備するものです。重度障がい者のセーフティーネットとしての役割と、それによって地域生活の継続と移行を促進することが期待されています。この度福岡市の受託施設候補に弊社の施設が選定され、今年度には開設する予定です。これまでの弊社の活動が評価していただいた結果であり、大変光栄なことであります。しっかりとその重責を担い、地域福祉に貢献できるように取り組んでいきたいと思います。

○福岡市障がい者地域生活支援拠点等整備事業 緊急時の受け入れ・対応業務とは?
地域生活支援拠点等の福岡市における整備に伴い,「緊急時の受け入れ・対応」を行う体制を確保し,障がい者若しくは障がい児(以下「障がい者等」という。)の地域生活支援機能の強化を図るもの。 
【主な業務内容】 
① 障がい者等の緊急時の受け入れを行う短期入所を提供するための居室の確保。 
② 類型に応じた障がい者等の緊急時に受け入れが可能な体制の整備。
③ 緊急時の受け入れ前後の障がい者等の生活支援の調整を行う緊急対応コーディネ ーターの配置。 
④ 緊急時の受け入れ・対応を行う障がい者等の事前登録。

御社、そして福祉業界の今後の課題は?

俗に「親亡き後問題」と呼ばれていますが、障がい者の親が亡くなった後、そうした障がい者の支援体制をどう行っていくか。例えば、グループホーム、入所施設、病院と、さまざまな選択肢はあると思いますが、支援体制が充実しているとは言えず、手厚いケアは望めません。やはり、少なくとも地域で継続して生活できることがいちばん望ましいのですが、障害が重くなればなるほど、それを支える仕組みがない。それに対し、当社としてはどうセーフティネットの一翼を担い、障がい者の将来不安を払拭していくかが、大きな経営課題です。これは行政の課題でもあり、私たち支援事業所も行政に対して、積極的に意見を言っていく必要があるでしょう。

私自身、行政関連の役職も務めていますので、福岡市などの政策決定に参画する機会をいただいています。今後、地方自治体だけでなく、国政への影響力も高めていきたいと考え、現在、全国レベルの団体で活動している方とも意見交換を行っています。福祉業界のイメージアップ、健全な成長のためにも、行政に政策提言を行うなど、積極的に働きかけをしていきたいと思っています。

また、福祉業界の人材不足は全国的に深刻です。高齢化社会を迎え、そのニーズはますます高まっています。看護師も同様です。現在、「ナースステーションきらきら」と「きらきらWITH YOU」に在職する看護師は15名。重度障がい者の支援に熱意のある方が集まっていただきとてもありがたく思っています。しかし、それでもまだまだ看護師も不足しています。魅力ある職場づくりへの取り組み、業界全体のイメージアップが必要だと感じています。

弊社は、企業理念に「誰もが安心して暮らせる地域社会を目指す」と謳っています。今後も創業理念を忘れることなく、地域社会から必要とされる会社、地域福祉の発展に貢献できる会社を目指していきたい。そのことで少しでも福祉業界の課題解決にお役に立てるよう、これからも邁進していきたいと思っています。

介護や看護師の資格をお持ちの方で、障がい福祉に情熱ある方の求人申し込みをお待ちしています。一緒に地域福祉に貢献しましょう。